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豆知識

“ヴィンテージ とアンティーク”

ヴィンテージ とは、元々ワインの収穫年から「当たり年」の物を表す用語でしたが、時間をかけて良さが増した物、希少性が高まった物、という意味合いから、骨董品などにも使われるようになった言葉です。
アメリカの関税法で、製作されてから100年以上経ったものをアンティークとする、と定められているため、それと区別するため99年以下の物をヴィンテージ と、アメリカで言うようになったようです。
一般的には製造されてから30年以上、100年未満の物を指しますが、100年経っていない物でも、大量生産品でないことや、デザインの歴史が継承されているものは、アンティークの部類に入ることもあります。

“フィードサック( feed sack )”

フィードサック( feed sack )はその名の通り飼料袋の事です。
家畜用の飼料を入れるために作られた布袋ですが、実際には小麦粉、穀物、種、砂糖なども入れられていて、小麦用の物はフラワーサック( flour sack )とも呼ばれていました。
アメリカで19世紀半ば、それまで使われていた木箱や樽、缶等の重くて運ぶのにかさばる容器に替わり、運搬の途中で破れたりしない丈夫な布で作られたフィードサックが登場したのが始まりです。当時丈夫なステッチができるミシンが開発された事で作れるようになりました。
19世紀後半にはコットンの生産が増え、それまでのリネンに替わってコットンが主流になりました。生成の袋にメーカーのロゴが印刷された物でした。

農家の主婦達がどこの家庭でもフィードサックを捨てずに、袋をほどいて生地として下着やタオルなどを作り、再利用している事に着目したのが、ミズリー州セントルイスのGeorge P. Plant Milling Co. という会社でした。
赤いギンガムチェックプリントで「Gingham Girl Flour 」として1925年に売り出し、GirlをMother, Baby, Queen などに変えて、それぞれにギンガムチェックの色を変え、成功を収めました。

他社も20年代後半には追随し、女性客を対象にカラフルで可愛いデザインの物を生産、1930〜40年代はフィードサック黄金期となり、何千何万ものデザインが各社から出回って、販売合戦が繰り広げられました。
洋服地用のプリント型を転用して、安価にたくさんのデザインを作る事ができたとも言われています。
それまでは袋に印刷されていたメーカーのロゴも、リサイクルの邪魔にならないよう、簡単に剥がせる紙が貼られるようになりました。

1929年にアメリカで大恐慌が起こり、経済不況が10年近く続くのですが、そういった時代背景もあって、主婦達は子供服やドレスなどの衣類、タオル、エプロン、ピローケース、カーテンなど家の中の様々な物をフィードサックをリサイクルして作るようになり、端切れも捨てずにパッチワークにして使いました。
1940年代前半には300万人の子供や女性達がフィードサックで作った服を着ていた、とまで言われています。
それだけ多くの人々に愛されたのは柄はもちろんの事、袋をほどいて一度洗うと柔らかくなり、洗えば洗うほど手触りの良い柔らかさが増して風合いが出るという、フィードサックならではの良さがあったからでした。

それまで各社バラバラだった袋のサイズも、1943年には国の規格サイズに統一されて、例えば100パウンド(45kg )の袋は1ヤード( 0.9m )以上あり、4袋あれば成人女性のドレスが作れる、というような目安にもなりました。

しかし1940年代後半には、ビニール袋や紙袋の方がより安価に作れて衛生的という時代の流れで、フィードサックの生産は次第に減っていき、1960年代に入る頃にはすっかり姿を消していたようです。

子供柄、花柄、幾何学模様、チェック、ストライプ、、等々、多種多様なデザインで約30年間女性達を虜にしたフィードサックは、100年近く経った今見ても、お洒落で可愛くて懐かしくて、アメリカでも人気があるため、コレクターズアイテムの一つなのも納得できますね。

フィードサック( feed sack )
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